2013年 12月 22日
屋根裏でパラゴンを聴く 広島・K田邸訪問
同じ学年にオーディオファイルがいるなんて、ちょっと驚き(笑)。
さて、K田邸は鉄筋造りのホームエレベーターを備える3階建て。そこから階段を上った4階部分、屋根裏スペースがオーディオルームとなっています。
部屋のサイズは幅3m、高さ2m、奥行7~8m程でしょうか。そして部屋の一番奥に鎮座するのが、パラゴンです。実物を見るのは私は初めてです。最初に思ったのは、どうやってこの部屋に入ったの?ということでした。なにせ、入り口ドアは普通のサイズですし、その下はすぐ階段です。
その答えは2つありました。1つは、このパラゴン、3分割するんですね。中央の反射板を引き抜くと、左右に分かれるそうです。
そしてもう1つ、ここが肝心です。この建物は約20年前に出来たそうですが、ショップに買い置きしておいたパラゴンを、なんと建築途中に搬入し、その後に入口側の壁を作って戸をつけたのだとか。室内の床や壁もパラゴン搬入後に作っていったそうです。そう考えると、正にパラゴンのために作った部屋。もはやこのパラゴンは搬出不可能、建物の一部と考えて良いようです(笑)。
床から立ち上がり、そのまま半円形にラウンドした天井へと連続する壁にはびっしりと小孔が空いています。その奥には吸音材が仕込まれているそうで、当時の建築家が実に良い仕事をしています。
私はこの日までパラゴンの構造を知らず、どこがどうやって鳴るんだろうと思ってましたが、K田さんが大切にお持ちの製品カタログにその答えが載っていました。
実に独特な音道を備えた3wayスピーカーなのですね。
さらに、このパラゴンは初期型だそうで、その特徴として中央の反射パネルやエンクロージャーが合板で出来ています。響きすぎるとの判断からか以後はパーティクルボードへ変更となっているそうです。
K田さんは、パラゴンを自作の真空管アンプで鳴らしています。
音源はCDとアナログですが、そのプレーヤーたるや記念碑的存在でした。
ターンテーブルは、DENONのベルトドライブ。これもかなりの年代物です。
さて、パラゴンが奏でるその音は、最初はとてもスマート、線が細く聴こえましたが、アンプが温まるとともに実在感のある音へと変貌を遂げていきました。スピーカーに近づくと、確かに中央の反射パネルから音が飛んできていることが実感できます。
と、ここでK田さん。
ごめんごめん、アンプが片方スイッチ入れ忘れていた、モノラル再生になってたよ、アハハハハ!
と朗らかにもう一つのアンプに灯が入りました。おおー、この中域の充実感は素晴らしいです。
それにしても、正面で聴いていて、片チャンでも左右のバランスの崩れを感じないのは、中央のパネルに反射させる独特の形式だからでしょうか。パラゴンってひょっとして左右のステレオフォニックが出にくいのかなと思い、持参のカーペンターズ青春の輝きをかけてもらうと、きちんと左右の分離があります。何とも不思議な感じです(ここで、左右の音の出方がうちで聴くのと反対だったので、K田さんに左右反転疑惑をかけてしまいました。実は、我が家のdcs950の左右出力端子、正面から向かって右が左で左が右なのでした。ずーっと気づかずに左右逆で聴いていたことに後日愕然としたのはここだけの話です。K田さん、あらぬ濡れ衣をかけて申し訳ありませんでした!)
パラゴンのセッティングってどうするんだろう、とK田さんに改めてお聞きすると、何度も何度も前後に動かしてみて、やっと今の場所に落ち着いたのだとか。さらには、室内には椅子がなく、床のカーペットに直に座って聴く形なのですが、これも最初はソファを入れていたのだそうです。でもどうも音がしっくり来ないため、次に座椅子にしてみたのだとか。それでも駄目で、結局床に直接座って視聴するスタイルになったそうです。
音作りは主に自作するアンプによるそうで、最初の15年は全然良い音で鳴らすことが出来ず、ようやく納得出来る音が出始めたのはこの5年の話だそうです。その時間的スケールの大きさにも脱帽です。
K田邸には、パラゴンの他にも興味を惹かれるグッズが目白押しなのでした。つづく。
やっとパソコンを立ち上げました(汗)
これだけ良く鳴ってるパラゴンは珍しいと思います・・・K田さんが仕事から帰ってなかったので聴けないかも?と思いましたが聴けたので一安心しました。
次回はレアなレコード等が出てきそうな予感です(笑)
部屋の意匠も素晴らしかったです。